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2003年 オーストラリア研修レポート 海洋動物学科 和地 正浩

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海洋動物学科
和地 正浩 |
クジラの生態学の授業では、ザトウクジラの体長が15メートル、体重が40トンと習っている。しかし、今一つピンとこない。体長がシャチの1・6倍、体重が4・4倍と計算してみても、やはり同じだ。あまりにも大きすぎるのだ。その大きな身体の一部が水面から出た。船の横には潜水艦のような黒い影が見えている。とにかく、とてつもなく大きい。やがてクジラは、大きなボツボツの頭を出して、こちらを見ている。水族館でイルカとシャチを見たことはあるが、クジラは初体験である。緊張と感動で、カメラを持つ手が震える。ついに、夢にまで見たクジラが、すぐ目の前にいる!!! |
クジラの泳ぐ海域へ
ハービーベイと、そこから船で渡る“世界遺産の島”フレーザー島の両方からクジラの船に乗り、観察と撮影を行いました。この海域はハービーベイ海洋保護区となっていて、特にクジラには厳しいルールがあります。100メートル以内への船の接近や追跡、取り囲みが禁止されているのです。100メートルと聞いて、最初は物足りなさを感じました。しかし、人間が紳士的に振舞えば、逆にクジラの方から船に近づいてきてくれるので、大きなクジラを間近で観察することができました。 |

船の近くに浮かんできた。 |
クジラ漬けの毎日が始まった
クジラの船には7回乗りました。フレーザー島から3回、ハービーベイから4回です。船ではクジラの頭数を数え、クジラの行動を記録して、写真撮影をします。特に潜水前に見せる尾ビレの内側は、重要な被写体です。ザトウクジラの尾ビレの内側は、人の指紋のように一頭一頭の色や模様が全て違います。これを利用して個体識別が行われているからです。一頭一頭を明確にすることにより、より正確な個体数が出せるのです。 |

親の真似をしていろいろなことを覚えたり、運動能力を高めていく。 |
| このような課題に取り組みましたが、クジラの行動を把握できずに、最初は悪戦苦闘の連続でした。特に潜水に入るタイミングや、浮上してくる場所が予想できずに、あたふたとしてしまいました。それでも3回目辺りからは、クジラの、行動にも慣れてきて、余裕を持って撮影をこなせるようになってきました。動物の行動とは、こうやって学んでいくものだと思いました。もし、1回や2回の乗船だったとしたら、殆ど結果を残せなかったと思います。 |

船上からクジラを見る人々。中央はクラスメイトの野村君。 |

スパイホッピング
頭を垂直に持ち上げて水面から顔を出し周りの様子を伺いゆっくりと沈む。
1回乗船で6〜8回 |
Come on boy, Come on!
鯨類は水の中でも、水の外でも物を見ることができる。特に海面上で物をじっくりと見る時には、水面からポコンと頭だけを出す。これが「偵察浮上」と言われるクジラのスパイホップです。
スパイホップのアクションは、好奇心が旺盛な若いオスのクジラに多い。船のクルーたちは、オスクジラの好奇心を駆り立てるように両手を振り回して叫び続ける。「Come on boy 、Come on!」乗船客も加わり、デッキは大合唱となる。その大合唱に反応してクジラが近づいてくると喚声は更に大きくなる。そして、ついにヌーと巨大な頭を水面に持ち上げる。クジラと人とが、お互いの顔を確認しあっているよう。目と目が合い、まるで一瞬、時間が止まったかのようにおもえました。やがて、人間観察を終えたクジラの頭がゆっくりと沈んでいく。さあ、次は僕も一緒に叫ぶぞ!「Come on boy, Come on !」 |

フルーキング
深く浸水する前に尾ビレを高く持ち上げる。
1日平均50〜70回 |

フルーキングの続き
この後深く浸水する。 |
クジラに教わったこと
クジラの船も、今日が最終日。日差しの強い日も、風が強い日も、カメラを持って甲板を動き回りました。今では1キロ先で上がるクジラのブロー(噴気)も、なんとか見つけられるようになりました。彼らが見せてくれた連続アクションのお陰で、カメラの連射も、素早いフイルム交換も、できるようになっていたのです。最初は苦戦したものの、徐々にデータも集めることができました。目の前の海では、母クジラが子クジラのトレーニングをしているところ。言うことをきかないと、長い胸ビレで海面をバンバンと叩く。「さあ、思いっきりジャンプしなさい!」と、催促をしているようだ。小さな身体が水面に踊り出てくると母クジラが示したお手本のようにはいかないものの、それでも派手な音と水飛沫を上げて着水していく。一度この練習が始まると、ブリーチングのジャンプは10回以上も続く。幼い子クジラは、この穏やかな平和の海で、体を鍛えられてから南極に帰る事になる。このトレーニングと休息を兼ねた海域が、ハービーベイの海です。 |

ペンタグル・スラッピング
水面に尾ビレを激しく叩きつけ、大きな音と水飛沫をあげる。威嚇行動と考えられている。
1回乗船で約10回 |
なぜ、彼らが毎年、決まったこの時期にハービーベイを訪れ、一週間滞在してから帰るのかは分かっていません。
きっと、捕鯨が始まるずっと太古から、クジラたちの間で言い伝えられている場所なのだろうと思います。
ありがとう、ザトウクジラたち。 |
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―研修に参加して―
ホエールウォッチングでは、全体を通して多くのザトウクジラが見られました。初めて生のクジラを見たので興奮しました。しかし、そのせいで時々メモをとるのを忘れてしまったのは、反省点だと思っています。今回の研修先で出会ったオーストラリアの人々は、みんなとても明るく、いい人たちばかりでした。英語がもっと分かれば、更に楽しかったと思います。他には、気温の変動が激しく風邪をひいてしまいました。体調管理の重要性を思い知らされました。しかしそれ以外はうまく行き良かったと思います。何よりも、様々な野生動物と出会えたことはとてもよい経験になりました。 |
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