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ダフニ・シェルドリック
動物孤児院訪問記
動物研究家 榎本美由貴

「ここは、一人でも多くの人に訪れてもらいたい場所です。
私たちに出来ることは、本当に小さなことかもしれません。
しかし、ここでの一歩が、未来に向けての大きな一歩になると
私は信じています。」


榎本さん
ダフニ・シェルドリック動物孤児院を訪れた
動物研究家の榎本美由貴さん

ケニア・ナイロビ国立公園のダフニ・シェルドリック動物孤児院を訪れた動物研究家の榎本美由貴さんが、訪問記を書いてくださいました。サファリや、マサイ族訪問時の素敵な写真もたくさん見せていただきました。榎本さんは、今回がケニア初訪問です。そして、早くも再訪を計画中です。「動物大好き人間」がアフリカに行くと、必ず「アフリカ大好き人間」になってしまいます。それほど魅力あふれる“地”なのでしょう。それでは、榎本さんの訪問記をご覧下さい。
成田から飛行機を乗り継ぎ、約1日かかってやっとケニアに到着。空港の外に出て大きく深呼吸。何かとても懐かしい匂いを感じました。
 市内のホテルで一休みして、すぐに出発。車で30分程のナイロビ国立公園内の
、シェルドリック
動物孤児院へ行きました。
 この動物孤児院は、密猟などにより親を亡くした子ゾウを保護して育て、大人になる頃野生に帰す活動をしています。
 創立者は、デビッド・シェルドリックさんで、初めはツァボ国立公園に開院しました。彼は、ツァボ国立公園の初代公園長に任命され、彼と妻のダフニさん一家は国立公園開設前後の約30年間を、このツァボで暮らしました。
ゾウ
散歩運動の後は食事の時間。将来の自然復帰のため、国立公園内にあるゾウが食べられる植物がえさとしてあたえられています。ナイロビは標高が高いため、背中には防寒用の毛布が掛けられています。


そして彼らは、サンブール国立公園で保護された2歳のメスのゾウ、エレナと出会います。エレナとダフニさんは、“人間とゾウ”という枠を越え、深い愛情でつながり、野生と人間の間を取り持つ使者という役割を果たしています。
 その後、デビッドは、ナイロビへの異動を告げられ、断腸の思いでツァボを離れますが、その数ヶ月後彼はあまりにも突然この世を去ってしまったのです。
 今も彼の遺志を継ぎ、ダフニさんと娘のジルさんがナイロビ国立公園に、
ダフニ・シェルドリック動物孤児院を開設して、1頭でも多くの子ゾウを救うべく毎日戦っています。
 孤児院の子ゾウには、1頭に1人、母ゾウの代わりとして飼育係が付いています。飼育係と子ゾウは、同じ小屋で寝ていつも一緒に過ごします。ゾウは愛情深い動物です。野生の状態では、常に母親の体に触れていて、肉体的な接触がとても大切なのです。それによって、生きる意欲が湧いてくるのです。母親から離れたゾウの赤ちゃんは、24時間以上生きることは出来ません。例え肉食獣に襲われなくても、衰弱して死んでしまうからです。
 ナイロビの孤児院で乳離れして元気になった子ゾウは、ツァボの孤児院に移され、そこで飼育係から養母役を引き継ぐ
エレナへと託されます。
 両方の孤児院で行われている重要な習慣が、散歩です。孤児たちは、飼育係や
エレナと一緒に国立公園内を歩きながら、野生で生きていくためのルールを学びます。エレナはそこで、餌の探し方やブッシュでの生活の仕方を子ゾウに教えてくれるのです。そうして孤児たちは野生に帰っていきます。
 
シェルドリック動物孤児院は、入園できる時間が午前11時から午後12時までの1時間のみと決まっています。孤児たちが、ちょうど散歩から帰ってくる時間だからです。訪れた人々は、ミルクをもらったり、リラックスして遊ぶところを見学します。
(当時は、子ゾウに与えるミルクを人工で作り出すことが難しく、保護されてもすぐに死んでしまっていましたが、ダフニさんの努力の甲斐あって、人工のミルクを作り出すことに成功しました。それからは、幼くして死んでいく子ゾウが減りました。)
 その間に飼育係が、ここでの子ゾウたちの生活の様子を熱心に分かりやすく話してくれます。子ゾウの方から近寄って来てくれるので、体をなでたり、一緒に写真を撮ることも出来ます。
しかし、子ゾウと言ってもやはりゾウ。体を押し付けられたりすると、簡単にひっくり返って、しりもちを付いてしまいます。
 私が訪れたとき、ダフニさんは、ツァボの孤児院に行っていて、お会いすることが出来ませんでした。(ダフニさんは孤児院の運営費をご自分で賄っていらっしゃるので、とてもお忙しい方なのです。もしお会い出来たら、それはとてもラッキーということ。)
 孤児院の中にお土産を売っているところがあり、そこに、密猟者に殺されたゾウたちの写真が何枚もありました。目を覆いたくなるような写真ばかりでしたが、あえて私はそれをじっくり見て現実として受け入れなければと思いました。とても悲しい気持ちになりましたが、その隣でとても素敵なものを見つけました。それは、“孤児院に来たゾウの里親になりませんか?”というものでした。子ゾウの里親になると、遠く離れた日本にいてもその子ゾウや孤児院のことが分かるように、定期的に手紙や写真が送られてくるようになっています。
 ただし、里親になるには孤児院の運営費や、1日にかかるエサ代などを払わなければなりません。私も是非、里親になりたかったのですが、その様なシステムがあることを知らなかったので、お金を持っておらず、泣く泣くあきらめました。今度ここを訪れた時には、必ず里親になろうと思っています。


子ゾウ
本当に小さい1才の子ゾウ。人間がつきっきりで親代わりを務めなければなりません。ガンバレ!
この地球から、1種類の動物が姿を消してしまうと、生態系がバランスを失い、それに伴なって全ての生き物たちが危険にさらされてしまいます。私たち人間は、自分達の都合の良い様に動物を殺しすぎました。良かれと思ってしてきたことが、実は自分で自分の首を絞めていたのです。それに気付いている人は、どれくらいいるでしょうか?
世界中でいったいどれだけの人が、自分自身の問題としてそのことに危機感をもっているでしょうか?

人間に親を殺され、
人間に命を救われた彼らは、人間の手によって心と体の傷を癒し、野生に帰ります。
密猟がなくならない限り、また人間に手を掛けられることがないとは言えません。
その時、彼らの目に私たち人間はどのように写るのでしょうか。
これからは、共に生きる道を探すべきだと思いませんか?

ゾウ

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